会社員の方々は「保険証」をお持ちになっていたはずで、退職日にはこの「保険証」は会社に返却します。
会社を辞めた後に別の会社にすぐに就職して別の会社で健康保険証をもらう方はよいのですが、そうでない方は何らかの健康保険に加入して「保険証」を取得します。
保険証がないと医療費100%になってしまうとか大変な事になってしまう可能性もあり、またご家族のためにも社会的信用の観点でも健康保険の加入は必須となりますよね。
ということで、会社員であった方の健康保険の切替手続きについてまとめてみます。
目次
健康保険の種類にはどんなものがある
ところで、健康保険の種類はどんなものがあるのでしょうか。
- 協会けんぽ
全国健康保険組合が運営している中小企業向けの健康保険 - 組合健保
大企業が自前で健康保険組合を運営している健康保険 - 共済組合健保
公務員等、特定の団体で加入する健康保険 - 国民健康保険
自営業や無職の方など他の健康保険に加入していない方向けの健康保険
私の場合は中小企業に勤めていたので、「協会けんぽ」に加入していました。
退職したら健康保険の切替が必要
会社を退職すると、それまで加入していた健康保険の資格は喪失し脱退となります。
退職時に「保険証」を会社に返却し、会社からは「健康保険・厚生年金保険資格等取得(喪失)連絡表」が渡されます。(後日郵送の場合あり)
この連絡表が届いた時には、既に会社は年金事務所へご自身の資格喪失の届け出をしていますので、健康保険証は無効になっています。
すぐに就職する方は次の会社で新しい健康保険の手続きをしてくれるので問題ありませんが、すぐに働かない(働けけない)方は、ご自身で健康保険の切替手続きをしなければなりません。
切替には以下の3種類があります。
加入先 | 協会けんぽの任意継続 | 国民健康保険 | ご家族の健康保険 (被扶養者) |
手続き先 | 各都道府県の協会けんぽ支部 | 居住する市区町村の役場 (国民健康保険担当課) |
ご家族の勤務先 |
加入条件 |
退職日までに被保険者の期間が連続して2ヶ月以上ある事。 退職日の翌日から20日以内に手続きする事。 |
詳細はお住いの市区町村に問い合わせをしてみてください。 退職日の翌日から14日以内に手続きが必要。ただし、遅れても遡って支払えば加入が可能。 |
ご家族が加入している健康保険の扶養の要件を満たす必要がある 詳細はご家族の勤務先に問い合わせをしてみてください。 |
保険料 |
退職前の収入により決定。 都道府県毎に異なる。(*1) |
加入する世帯の人数、前年の所得によって決定。 各市町村ごとに保険料が異なる。(*2) |
なし(被扶養者になるため) |
ご家族の健康保険の被扶養者になる場合は、保険料負担はありませんが、社会保険(社保)の任意継続や国民健康保険に加入する場合は 当然の事ながら保険料がかかります。
どちらを選択するかは両者の保険料を比べて安い方に加入した方がお得です。
私は会社を辞める時、総務の方に「◯◯さんは、健康保険は任意継続にした方が絶対お得ですよ」と言われました。
調べてみると、圧倒的に社会保険(協会けんぽ)の任意継続の方が安かったので(国民健康保険に加入した場合の約1/2の金額)、迷わず任意継続を選択しました。
もちろん任意継続は2年間が限度ですので、このまま就職をしなければ2年後には国民健康保険に加入しなければなりません。
*1 協会けんぽの任意継続保険料 リンク先:協会けんぽのホームページ
*2 国民健康保険の保険料
保険料は、在職時の年収や加入する世帯の人数、各市町村によって異なりますので該当する市町村のホームページ等でご確認ください。
「市町村名 国民健康保険 保険料」などで検索すると大抵の市町村のホームページで確認できるはずです。 ちなみに、私の場合は在職時の社会保険(社保)の保険料と同額程度でした。
協会けんぽの任意継続とは
「協会けんぽ」とは、全国健康保険協会の略で主に中小企業が加入するサラリーマン向けの社会保険(社保)です。
会社を退職すると、保険証を返却し「協会けんぽ」の加入資格は喪失してしまいますが、ある一定の条件を満たすと 2年間の継続が可能となります。
任意継続に加入するための条件
退職日(資格喪失日の翌日)までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間(協会けんぽに加入していた期間)がある事。
任意継続に加入するための方法
退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内に、協会けんぽ「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する事。
任意継続の加入期間
加入期間は、任意継続被保険者(加入してから)になってから2年間。
ただし、以下の理由に該当した時は、2年未満であっても資格を喪失する。
- 毎月の保険料を納付期限までに納付しなかった時
- 就職等により、他の健康保険等の被保険者となった時
- 被保険者の方が亡くなられた時
- 被保険者の方が後期高齢者医療制度の被保険者となった時
ただし、2年間の間に国民健康保険に切り替えたり、家族の健康保険の扶養になる等の理由で任意継続をやめる事はできません。
やっぱり国民健康保険の方が安いので変更したいとかはできませんので注意してください。
任意継続の保険料
都道府県や在職時の月額給与により異なります。
保険料の上限は、約32500円前後となりますが、扶養家族がいる場合にもこの上限額は変わりません。 また、在職時の月額報酬が28万円が保険料算出の上限報酬となっているので、28万円以上の報酬を得られていた方はこの任意継続に 加入した方がお得かもしれません。
ご自身の保険料は以下のサイトで任意継続保険料のお住いの都道府県を選択して確認してみてください。
リンク先:協会けんぽのホームページ
保険料の納付方法
保険料の納付は以下の方法があります。
- 口座振替
毎月1日に指定口座から引き落とし(別途、口座振替申込書の提出が必要) - 納付書による毎月納付
毎月10日までにコンビニ等で納付
期限から遅れると1回までは振込用紙の再交付をしてくれますが、2回遅れると健康保険が停止になるそうです。注意が必要です。 - 納付書による前納納付
6ヶ月前納、12ヶ月前納が選択でき前納による保険料の割引がある
被扶養者の認定
扶養家族がいる場合は、被扶養者の認定が必要になります。
- 60歳未満:年収130万円未満
- 60歳以上:年収180万円未満
認定には、被扶養者の収入確認のための書類(所得証明書や確定申告書など)が必要です。
協会けんぽの任意継続の手続きの流れ
協会けんぽの任意継続は、申請から保険証発行までの流れは以下となります。
- ①ご自身が退職日の翌日から20日以内に協会けんぽに提出
提出する書類:
・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書(こちらからもダウンロードできます)
・被扶養者がおられる場合は被扶養者の所得証明などの必要書類 - ②協会けんぽで書類の受付
- ③会社が被保険者資格喪失届を年金事務所に提出
会社がこの書類を提出すると、ご本人宛に「健康保険・厚生年金保険資格等取得(喪失)連絡表」が会社から届くはずです。この連絡表が届かない場合は、会社が届け出を行っていない等の可能性がありますので、すみやかに会社へ確認しましょう。会社が処理をしないと保険証の発行に時間がかかってしまいます。 - ④年金事務所が被保険者資格の喪失処理
この処理が終わると協会けんぽは資格取得申出書の処理を進める事ができます。 - ⑤保険証と納付書を作成
保険証(被扶養者がいる場合はその数分)と初回の納付書の作成 - ⑥保険証と初回納付書の郵送
ここで保険証が受け取れます。 - ⑦保険料の振込
毎月10日までにコンビニ等で納付
期限から遅れると1回までは振込用紙の再交付をしてくれますが、2回遅れると健康保険が停止になるそうです。注意が必要です。 - ⑧口座振替依頼書の提出口座振替を希望した場合には保険証と共に口座振替依頼書が同封されていますので別途提出します。
まとめ
- 会社を辞めてすぐに就職しないなら健康保険の切替が必要
- 健康保険の切替は3種類ある(国民健康保険、任意継続、ご家族の扶養)
- 国民健康保険と任意継続のどちらが保険料が安いか調べてお得な方を選ぶ
- 任意継続の手続きは退職日の翌日から20日以内なのでお早めに
健康保険は医療行為を受けるためにとても大切なものです。
ご家族のためにも必ず切替をして安心して生活を送られてください。
もう1つ、退職したら国民年金の切り替え手続きもしなければいけない事です。
こちらの記事でご確認ください。