母は私の扶養家族にはなっていない。
多くはないが父が残したアパートの家賃収入という事業所得があるからだ。
故に毎年確定申告をしなければならないのだが、今の老いた母にはあの面倒な確定申告書を作成する気力も体力も残っていない。なので私が代行している。
確定申告、なんであんなに面倒なんだろうか。
今はe-Taxで電子申告をしたり、はたまた国税局のサイトで手順通りに申告書を作成していけばいいシステムになってはきているが、これをパソコンもインターネットも使えない年配の方に「さあどうぞ」と言ってもなかなか使いこなす事は難しいだろう。だから費用がかかっても税理士さんに任せている方も多いと聞く。
私が代行していなかった頃は、母は何度も税務署へ出向き職員に色々聞きながらなんとか自力で作成していたらしい。母が書いた昔の確定申告の控えが残っているが全部手書きだ。
医療費控除などは、病院に相当な回数通っている母のような人は、それらをまとめて計算するのも大変な作業だ。 病院の領収書や交通費(タクシー)の領収書をパソコンでまとめて処理するだけでも半日はかかってしまう。母はもちろんパソコンなんか使えないので全部手書きでソロバン計算していたはずだ。
相当大変だっただろう。そういえば毎年2月になると申告の事で憂鬱になっていた母の事を覚えている。
母の場合、収入は年金と家賃収入で、これに経費を入れ込んで申告書を作成する事になる。
年金は父の残した遺族年金と母が自ら入っていた国民年金の2つだ。
初めて母の確定申告を作った時の事、源泉徴収のハガキを探したが年金のハガキが1つたりない。 国民年金のハガキはあるが遺族年金の方がなかった。不安になって昔の申告書の控えを見ても年金は国民年金しか申告していない。
これは困ったと調べたところ、なんと遺族年金は非課税で申告の必要なしという事がわかった。
そうなんだ…。 こういう事は経験してみないといつまでもわからない事なのだなと苦笑いした。
母が受給している国民年金と遺族年金、国民年金は微々たるものだが遺族年金は結構な額である。 私が将来もらえるはずの厚生年金の額より多いんでびっくりする。
という事は父が存命中にはこの額の倍くらいは年金をもらっていたんだろう。
父は国鉄に勤めていたので共済年金である。よく国鉄の共済は凄く良いよと聞くがこういう事だと理解した。
父と母の時代は年金に関しても良い時代だったんだなとつくづく思った次第である。
この先、日本の年金制度はどうなっていくのだろうか。
私がもらえる年齢になった時に果たしてきちんと受給できるかと不安になるし、さらには子どもたちの時代にはどうなってしまうのだろうか。
日本の高齢化と少子化、他人事ではなく本当に心配である。